プログラミング言語はどうやって作られた?その歴史を紐解く【前編】

プログラミング言語はどうやって作られた?その歴史を紐解く【前編】

「プログラミング言語に興味はあるけど、とにかくとっつきにくい」という印象を持つ人は多いのではないでしょうか。

そのような人は、プログラミング言語の歴史を知れば日々の研鑽に役立つだけでなく、親しみを感じることにもつながるでしょう。

本記事では、まず前編として、プログラミング言語の歴史を年代別にくわしく紹介します。「プログラミング言語はどのように進化してきたのか?」などに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。

目次

プログラミング言語の起源とその歴史を年代順に解説

プログラミング言語の起源とその歴史を年代順に解説

この前編では、プログラミング言語全体の歴史を年代別に紹介します。

内容は以下のとおりです。

  • 1940年以前
  • 1940年代
  • 1950年代~1960年代前後
  • 1970年代
  • 1980年代
  • 1990年代
  • 2000年代
  • 2010年代

1940年以前

コンピュータの起源は、1940年代以前に「コンピュータの父」と呼ばれたイギリスの数学者チャールズ・バベッジが設計した機械式の解析機関だと言われています。バベッジの存命中には完成しませんでしたが、後にバベッジの設計を元に組み立てられ、完全に動作することが確認されたそうです。

そして、1940年頃にはコンピュータを動かすための「機械言語」が登場しました。この機械言語がプログラミング言語の起源と考えられます。

1940年代

1940年代には機械言語から「アセンブリ言語」が生まれ、機械言語とともに利用されるようになります。これらの言語を使うことで、コンピュータによる単純な処理が可能になりました。

ちなみにアセンブリ言語とは、コンピュータが直接解釈・実行できる機械語と一対一に対応した言語のことです。プログラミング言語の中でも低水準言語に分類されます。

また、1942年には「Plankalkül(プランカルキュール )」という言語が設計されました。ただ、プランカルキュールは設計のみで終わってしまい、実際に使われることはありませんでした。

1950年代~1960年代前後

1950年代~1960年代前後

1950年代では、まず1954年に世界初の高水準プログラミング言語と言われる「FORTRAN(フォートラン)」が生まれています。開発はIBMのジョン・バッカスが中心になって行われました。

FORTRANは世界初の高級言語(抽象度の高い記述が可能な言語)であり、手続き型プログラミング言語なので科学技術計算に向いています。そのため、現在もスーパーコンピュータなどで使用されています。

1958年にはヨーロッパの研究者によって「ALGOL58」が発表されました。発表当時はあまり注目されませんでしたが、後年、C言語を含む多くのプログラミング言語の開発に役立っています。

1959年には「COBOL」という事務処理用の言語が生まれました。COBOLは現代の日本でも使用されることがあるほど、長く活躍している言語です。

その理由として、事務処理言語ということもあり、プログラムを専門としていないメンバーでも比較的簡単に使用できるためと考えられます。

1970年代

1970年代は、ALGOL58の影響を受けたプログラミング言語が誕生しています。例を挙げると、1970年に誕生するPascalや1972年に誕生するC言語などがあります。

また、AI(人工知能)向けの言語やオブジェクト指向言語のような、新しいタイプの言語も開発されました。

1970年代に生まれたプログラミング言語を時系列で紹介すると以下のとおりです。

▼1970年頃にB言語が誕生(計算機械学者ケネス・レイン・トンプソンが中心になって開発

B言語はBCPLから派生した汎用性の高いプログラミング言語である)

▼1972年にC言語が誕生(計算機械学者デニス・リッチーが中心になって開発。

「Bの次なのでC言語」になった経緯がある。プログラミング言語の代表的な存在として、今も広く使用されている)

▼C言語と同じ時期にSmalltalk(スモールトーク)が誕生

オブジェクト指向を取り入れた初のプログラミング言語。後に生まれるオブジェクト指向言語の祖先的な存在

▼1970年代後半にSQLが誕生

現在のシステム開発において、データベースの操作に欠かせない言語として有名

1970年代はプログラミング言語の代表的な存在であるC言語が生まれた年なので、プログラミング言語の歴史においても節目の年であると考えられます。

1980年代

1980年代は、1983年に「C++」が開発され、同時期に「Objective-C」が誕生しています。C++はC言語にオブジェクト指向を導入したもので、Objective-CはSmalltalkをベースにしています。

Objective-CもC言語の上位互換にあたるもので、NeXTやmacOSの公式言語として使用されています。そのため、iPhoneアプリの開発でもよく使われています。

また、1987年にはPerlが登場しています。Perlは開発効率の高いオープンソースのスクリプト言語で、多くのライブラリが用意されているのが特徴です。ライブラリが豊富なので1つの処理を行うためのプログラムにも複数のパターンがあり、その多様性の高さから世界中で人気があります。

1990年代

現在のプログラミングの現場では、1990年代に開発されたプログラミング言語が多く利用されています。

代表的な言語は以下のとおりです。

  • Python
  • PHP
  • Ruby

上記の言語は、Perlがさらに進化したスクリプト型言語です。

また、上記の他にもJavaJavaScriptなど、現在でもさまざまな分野で利用される言語が生まれています。この年代は特にプログラミング言語の歴史として内容が濃いので、1990年代は前半と後半に分けて紹介します。

1990年代前半

1990年代前半では、まず1990年にプログラマーのグイド・ヴァンロッサムによって「Python」が開発されています。

Pythonはスクリプト型言語でありオブジェクト指向言語でもあるので、世界中で人気があります。AIやビッグデータ解析の開発でも役立つ言語なので、その人気や需要が衰えることはないでしょう。

1991年にはMicrosoftの「Microsoft Visual Basic」が発表されています。これは当時、日本でも広く普及しました。

1994年には「PHP」が誕生しています。

PHPはC言語がベースになった言語で、動きのあるWebページを作るために使われるサーバーサイドのスクリプト型言語です。世界のWebサイトの60%を占めると言われるWordPressをはじめとして、多くのWebアプリケーション開発で使われています。

1990年代後半

1990年代後半では、1995年に日本人プログラマーのまつもとゆきひろ氏によって「Ruby」が開発されました。Rubyは純オブジェクト指向言語で、Perl・Smalltalk・Ada・Eiffel・Lipsなどの良い部分をブレンドして作られたことで有名です。

Webアプリケーションやサービス開発の現場で重宝され、日本だけでなく海外でも人気があります。

また同年には、サン・マイクロシステムズによって「Java」も発表されています。JavaはOSに依存しないという特徴があるため、どのような環境でもソフトを起動することが可能です。この汎用性の高さと利便性から、多くの開発現場で活用されています。

さらに、Web業界の開発現場で中心的存在となっている「JavaScript」が誕生したのも1995年です。JavaScriptはクライアントサイドの動的な処理に欠かせない言語として、さまざまな現場で活用されています。

2000年代

2000年代では、まず2000年に「C#」がリリースされています。C#は、C++にJavaを取り込んだもので、文法がJavaに似ているオブジェクト指向の言語です。「NET Framework」というソフトウェア上で動作します。

2003年には「Scala」が登場しています。Scalaは関数型の機能が使えるオブジェクト指向言語です。Javaと互換性があり、ScalaでJavaのライブラリを使用可能です。

2007年には「D言語」が誕生しています。D言語はC言語の置き換えを目指したもので、柔軟な構文と短いコンパイル時間が特徴です。さまざまなプログラミング言語の機能を取り込んでおり、今後、中心的な言語になる可能性があります。

2009年には「Go言語」が発表されています。Go言語はGoogleのオープンソースのコンパイル言語です。Webサーバーの構築やAI開発、Webアプリケーション開発などで利用されており、構文がシンプルで書きやすいため人気のある言語です。

2010年代

2010年代では、2011年に「Dart」がリリースされています。DartはGoogleが開発したもので、オブジェクト指向型でパフォーマンスもセキュリティも高いことが特徴です。クライアントサイド・サーバーサイドの両方で機能し、JavaScriptの代替えを目的としています。

また同年には「Kotlin」が開発されています。Kotlinもオブジェクト指向型言語で、Androidアプリの開発で使われることが多いです。Javaと相互利用でき、アプリケーションやサーバーサイドの開発にも利用されます。

2014年には「Swift」が発表されています。SwiftはApple社のオープンソースのプログラミング言語です。Apple製品に必要なアプリケーション開発などに使用されています。

まとめ

まとめ

現在使われているプログラミング言語は、言うなれば「競争に勝ち残ってきた言語」と言えます。実際、開発されて利用されていたものが時代とともに廃れていった言語も多いです。

プログラミング言語の歴史は需要と競争の歴史と言えます。この先も、利用者や開発者の需要によって新しい言語が生まれていくでしょう。

この記事に目を通していただいた後は、引き続き後編も読んでいただけると幸いです。

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著者情報

Webライター4年目。Webマーケティングが得意ジャンル。Webマーケ系は250本以上執筆。企業ブログでの執筆実績多数。不動産関連記事、金融系記事も鋭意執筆中。コピーライティング・セールスライティング案件も絶賛受付中!2級FP技能士・宅建士持ってます。自分を一言で表すと「歴史大好き」

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