現在の日本において、相当数のエンジニアがいるにも関わらず、IT分野での人材不足が問題視されています。
人材不足が問題視されている以上、今後もITエンジニアは需要があり、将来性のある業界ということがわかるはずです。
しかし、ITエンジニアと一言でいっても職種はさまざまなので、自身がどのような分野に興味があるのか知りたい方も多いでしょう。
そこで今回は、「ITエンジニアの需要」と「今後活躍していくために必要なコツ」についてまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

ITエンジニアの人材不足が懸念される現状

DX化(デジタルトランスフォーメーション)が推進される昨今において、IT技術を活用した業務効率の改善や事業企画はますます需要が増えてきました。
また、DX化の導入を検討する企業にも多様性が見られ、従来の社外の方に業務を委託する外注ではなくITエンジニアを雇用する内製化の動きが活発です。
ITエンジニアを雇用する企業が多くなれば、当然人材が必要となるため、DX化が進むほど人材不足が深刻化してきます。
2030年には40万〜80万人のITエンジニア不足が見込まれる
経済産業省が公表した「IT人材需給に関する調査 調査報告書」によると、2018年を基準とした場合、2030年までのIT人材不足は40万人〜80万人にのぼると予測しています。
2020年の日本におけるITエンジニアの人口は約122万人なので、最大で200万人ほどのIT人材が必要という計算です。
また、1990年頃のインターネット技術が普及した時代のエンジニアは、2030年になると引退を迎える年齢の可能性があります。
そうなると、国内における少子高齢化も相まって、エンジニア不足はますます加速の一途を辿るでしょう。
今後さらに需要が高くなるITエンジニアの職種とは

では、今後さらに需要が高くなるITエンジニアの職種について知っておきましょう。
IPAが発表している「2019年度組込み/IoT産業の動向把握等に関する調査」によると、以下の分野がそれぞれ普及期・発展期・安定期に分類されます。
普及期 | 発展期 | 安定期 |
AI ビッグデータ 画像音声認識 IoT セキュリティ | シミュレーション 制御系PF リアルタイム モデリング OTA | クラウド 設計 要件定義 無線通信 運用 保守 |
参考:IPA(情報処理推進機構)「2021年度組込み/IoT産業の動向把握等に関する調査」
上記を把握した上で、今後の需要が高くなるITエンジニアの職種をまとめましたので、気になる領域・分野があれば覚えておきましょう。
ネットワークエンジニア
コンピューターネットワークの構築および保守・管理を行う専門性の高い職種です。
LAN(Local Area Networkの略称で、限定的な範囲内の機器やパソコンをケーブルで接続し他ネットワークのこと)やIP(Internet Protocal Adressの略称で、ネットワーク内で各コンピューターを識別するための住所のようなもと)といった知識のもと、ルーターやスイッチを駆使して社内ネットワークを整えます。
また、不正アクセスやマルウェア感染(malicious(悪意のある)+ softwareを組み合わせた造語。パソコンが感染すると個人情報流出やデータの改善など悪影響をもたらす)から守るためのセキュリティの知識も必要です。
経済産業省のDXレポートでは、2025年以降にシステムの老朽化にともなう障害(2025年の壁)が多発すると予想されています。
この障害・トラブルを回避するには、コンピューターネットワークの再構築・整備が欠かせません。
上記を考えると、ネットワークエンジニアも将来的に需要が増える職種の1つとして考えられます。
AIエンジニア
AIエンジニアは、人工知能を活用したシステムの開発および活用を目的としたエンジニアです。
機械学習やディープラーニングによって、大規模なデータを蓄積・分析し、企業が抱える課題のソリューションとなるシステムを提供します。
金融機関や医療メーカー、製造業にいたるまで、現在では幅広い業種でAI技術が用いられています。したがって、需要も高くなりつつあるのが現状です。
必要な知識としては、PythonやC++、Rなどのプログラミング言語の知識で、さらにAIから得られたデータを分析する力が求められます。
データエンジニア・サイエンティスト
データエンジニアは、データ分析を行うためのシステムや環境を構築するエンジニアです。
企業独自が集積できるデータは貴重であり、ビジネスに活用するためには、効果的な整理・管理が必要になります。
データ分析の基盤となるシステムの設計・構築がデータエンジニアの業務の領域であると理解しましょう。
そして、データエンジニアが構築したシステムを活用し、ビジネスやマーケティングに活かすのがデータサイエンティストの役割です。
どれだけ有用なデータを保有していても、活用できる知識がなければ意味がありません。そこで、企業でデータサイエンティストを採用し合理的・戦略的なデータ活用のサポートを行います。
どちらもプログラミング言語の習得だけでなく、統計学や経営学の知識が必要になる職種です。
IoTエンジニア
IoTエンジニアは、洗濯機や掃除機といった家電から、ドアや窓など、あらゆるモノにインターネットを繋ぐ技術の開発・運用保守を行うエンジニアです。
IoT(Internet of Things)の例でいえば、「不審な動きに合わせて撮影」や「通報を行う監視カメラ」、「スマホからリモートで操作できる洗濯機」が挙げられます。
必要とする知識は高度かつ専門性があり、ハードウェア・ソフトウェア双方の知識が必要です。
プログラミング言語の知識はもちろんのこと、新しい技術を開発するための発想力や論理的思考力も求められます。
暮らしを豊かにする、業務効率の向上という点では非常に需要があり、今後もより高いニーズを見込まれるのがIoTエンジニアです。
クラウドエンジニア
クラウドエンジニアは、インフラエンジニアの一種として捉えられるものの、オンプレミス環境(自社でサーバー・ネットワーク機器、ソフトウェアを保有・運用する形態)の構築ではない点が異なるエンジニアです。
その名の通り、クラウド環境で動作するサーバーやシステムの構築・運用保守を行うものの、オンプレミスでのシステム開発の知識も必要になります。
上記理由としては、オンプレミスからクラウド環境への移行を検討している企業も多いからです。
クラウドエンジニアになるためには、クラウドサービスの種類と形態の把握、ユーザーの要求に合わせて最適なシステム構築ができる知識・スキルの習得が必須です。
Webアプリケーションエンジニア
Webアプリケーションエンジニアは、Webおよびアプリケーションの開発を主とするエンジニアです。
Webサービスにおいては、HTMLやCSS、JavaScript、アプリケーションではJavaやPHP、Perlといった言語が用いられます。
どのようなサービス・システムを開発するかによって、多様な言語を駆使する必要があるので、それぞれで適切な人材が配置されるケースが多いです。
市場価値を考慮すると、複数のプログラミング言語を習得しているほうが需要があるため、常に勉強して新しいスキルを身につける必要があります。
DXやIoTに注目が集まっている昨今においては、今後のWebアプリケーションエンジニアの人材不足が予測でき、国内のニーズも高まっていくでしょう。
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは、サイバー攻撃やマルウェア感染から守るためのセキュリティシステムの構築や運用・保守を行うエンジニアです。
IT技術が発展する反面、サイバー攻撃も巧妙になっており、セキュリティを担当する部署が設けられるほど企業は慎重になっています。
特に、従来のサーバーとパソコンを繋いだ部分でのセキュリティ強化だけでなく、スマホやタブレット、電子端末など、さまざまなデバイスを監視・保護しなくてはいけません。
必要なスキルとしては、セキュリティに関する知識はもちろんのこと、サーバーやOS、ネットワークの知見も必要です。
プロジェクトマネージャー(PM)
プロジェクトマネージャーは、各プロジェクトの総責任者であり、進行管理や予算・品質・納期を全てマネジメントする職種です。
一見、ITエンジニアと疎遠のように感じられますが、ユーザーや顧客が満足してくれるシステムやサービスを開発する上で、適切なプロジェクトの進行管理は欠かせません。
そのため、ユーザーや顧客の意見を正しく理解し、「エンジニアが持つ技術でどのように成功させていくのか」という論理的思考が必要です。
そのため、プログラミングの知識とマネジメント力の双方を持っていなければならず、責任も重大な点から企業の鍵となるポジションといえるでしょう。
プロジェクトマネージャーですでに多大な成果・実績を残しているならすぐに就任できますが、基本的にはステップアップして任されてる職種です。

需要に応えられるITエンジニアになるためのコツ

ITエンジニアが不足するといっても、誰でもいいというわけではなく、あくまでも戦力になる人材が必要です。
では、需要に応えられるITエンジニアになるには、どのような技術や知識を身につけていけばいいのでしょうか。
ここでは、IT業界の発展と共に時代に求められるTエンジニアになるためのコツについて2つご紹介します。
先端IT技術を習得する
今後を見据えると、間違いなく先端IT技術の習得は、需要に沿ったITエンジニアになれます。
近年では、AIやIoTのほかにも、ロボットやOSS(オープンソースソフトウェア)といったIT技術も注目されています。
先端IT技術というと、専門的に感じるかもしれませんが、具体的に見てみると前述したように枝分かれしているのがわかるはずです。
そのため、自身が興味のある分野の先端IT技術を見つけて、習得していくことが結果として需要に応えられるITエンジニアになるコツだといえるでしょう。
コミュニケーション力・提案力を強化する
システム開発や運用保守だけではなく、クライアントの意図を汲み取るためのコミュニケーション力や提案力があると、より重宝されるエンジニアになります。
例えば、クライアントが希望しているシステム開発と予算が噛み合わない場合、まずは、どのような課題を抱えて、どのように解決したいのかを聞き出します。
聞き出した上で予算内に収まるシステムで開発可能なケースが考えられた場合、クライアントに予算内でも実現可能なシステムや詳細を納得いただけるように提案をする、というパターンです。
そうすると、クライアントに信頼と満足度を提供し、結果として利益が増えるので、企業から重宝されるエンジニアとして評価されるでしょう。
コミュニケーション力や提案力は、ビジネスをする上で非常に重要なスキルになるため、ITスキルと並行して身につけられるよう意識してみてください。

まとめ

今回は、ITエンジニアの需要と活躍していくためのコツについて解説しました。
ITエンジニアは今後ますます人材不足が懸念されるため、まだまだ就職・転職のチャンスは秘めている業種です。とはいえ、IT技術を駆使するのは一朝一夕で身に付くものではないので、着実に自身のスキルアップを目指していかなくてはいけません。
ぜひ、企業から必要とされるITエンジニアになるために、自身が習得できそうな職種をみつけて研鑽に励んでください。
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