「ITエンジニアには論理的思考力が必要」とよく言われますが、一体なぜでしょうか。
本記事では、「ITエンジニアに論理的思考が必要な理由」と「論理的思考を身に付けるメリット」、「論理的思考の鍛え方」について解説していきます。
ITエンジニアを目指している方は、ぜひ参考にしてください。

論理的思考とは?

論理的思考とは、「目標を逆算し道筋立てて考える力」を指します。
英語では、ロジカルシンキングと言われます。
例えば、自宅から駅に向かう際に、「どのルートで行けば最速で到着するのか」を考えるのも論理的思考と呼ぶことができます。
またビジネスシーンで使われる論理的思考は、「今年の冬は暖かかったため、暖房エアコンの売上は例年よりも低下した」など、原因と根拠を紐づけて分かりやすく相手に伝えることが例として挙げられます。
なぜITエンジニアには論理的思考が必要なのか

ITエンジニアに論理的思考が必要な理由は、ITエンジニアの仕事内容に「道筋立てて考える作業が多岐に渡ること」に関係しています。
本項目では、ITエンジニアに論理的思考が必要な理由を5つ解説します。
1.システムの仕様や設計を決定するために必要となる
システムの仕様や設計を決定する際は、矛盾が生じないように論理的に進めていく必要があります。
システム仕様に矛盾が生じるとバグやエラーの発生に繋がります。
また、「この機能は〇〇だからここのソースコードは、××の仕様にする」といったように、1つ1つの動作に意味を持たせながらシステムの仕様や設計を決定することも大切です。
2.最適な開発スケジュールを組むために必要となる
システム開発に必要となる工程を洗い出し、納期から逆算して予定を立てる必要があります。
開発スケジュールを組む際は、そのため、論理的思考が求められる作業であり、直感的に「何となくこれくらいだろう」と見積もってスケジュールを立てると、納期に間に合わない、もしくはタイトなスケジュールになる可能性が高まります。
特に開発スケジュールは、プロジェクト全体に関わるため、スケジュールを作成するプロジェクトリーダーやマネージャーには、高い論理的思考力が求められます。
3.クライアント向けの資料作成やドキュメント作成に必要となる
必ずクライアント向けの資料作成や基本設計書、詳細設計書などのドキュメント作成が必要となります。
システムを開発する際は、これらの資料は、システム開発をするための設計書であり、この資料をもとに開発を進めていきます。そのため、設計書が論理的にまとめられていないとスムーズに開発が進みません。
また、クライアントはシステムの専門的な知識を持ち合わせていないため、クライアント向けの資料作成の際は、論理的思考とITエンジニアではない方にも理解できるように分かりやすくまとめる力が求められます。
4.障害発生時の事象の切り分けのために必要となる
原因を突き止めるためには、システムが「どこまで正常に動作し、どこからエラーが発生しているのか」を切り分けて考える必要があります。
システムに障害が発生した場合、例を挙げてみましょう。
・「このメソッドでエラーが発生しているから、その前の処理までは上手くいっている」
・「データの不整合でエラーが発生しているから、データの入力チェック処理がエラーの原因かも」
上記のような状況の切り分けができないと、闇雲に障害の原因を探すこととなり、原因の特定と解決に時間がかかってしまいます。
5.エラーの再発防止のために必要となる
システムの運用をしていると必ずエラーやバグは発見されます。
しかし、何度も同じエラーやバグを発生させると、品質の低いシステムとみなされ、顧客の信用を失いかねません。
そこで重要となるのが、一度発生したエラーやバグの再発防止に努めることです。
これには、「このバグは、メソッドの引数が間違っていたことが原因で発生した」や「このパターンの入力だと、チェック処理に引っ掛からないため、システムエラーが発生する」などのようにエラーやバグが発生した原因をしっかりと理解する必要があり、そのためには、論理的思考力が必要となります。
ITエンジニアが論理的思考を身に付けるメリット

ITエンジニアが論理的思考を身に付けると以下のメリットが得られます。
- 仕事の効率が上がる
- 問題解決能力が高まる
- 希少価値の高いITエンジニアになれる
- コミュニケーション能力が高まる
順番に解説していきます。
1.仕事の効率が上がる
論理的思考が身に付くと、作業をする上で、最適な進め方が見つけられるようになります。
その結果、仕事の効率が上がり、質の高いシステムを構築できるようになります。また、システム開発だけでなく、自分に足りないスキルや技術も分かるようになるため、スキルアップの勉強にも論理的思考は役立ちます。
2.問題解決能力が高まる
論理的思考が身に付いていると、問題解決能力が高まります。
問題解決能力とは、発生した問題の原因を特定し、効率的な解決策を導き出す力を指します。エラーやバグの原因調査と解決案の提示が求められるITエンジニアにとって、問題解決能力は必須のスキルです。
問題解決能力が高いと、より早急にエラーやバグを解決できるため、優秀なITエンジニアへ近づくことができます。
3.希少価値の高いITエンジニアになれる
一般的に、仕様書や設計書作成などの上流工程を担当できるITエンジニアは、希少価値が高く、年収も高い傾向にあります。
例えば、顧客の要望を分かりやすく仕様書に起こせるITエンジニアです。
一方で、設計書通りプログラミングのみを担当するITエンジニアは、そこまで希少価値は高いとは言えず、突出した技術力を身に付けていない限り、上流工程を担当できるITエンジニアと互角に戦うのは厳しいでしょう。
そして、上流工程を担当できるスキルを身に付けるためには、より高い論理的思考が必要となり、これを身に付けられれば、希少価値の高いITエンジニアとしてプロジェクトの幅が広がるでしょう。
4.コミュニケーション能力が高まる
ITエンジニアは、普段パソコンに向かって作業しているため、コミュニケーション能力はあまり必要ないと思われがちですが、実は非常にコミュニケーション能力が求められる仕事です。
特に、大規模なシステム開発の場合は、チームの垣根を超えて多くの人と協力してシステム開発を進める必要があります。
コミュニケーション能力が低いと、自分の考えや意見を上手く伝えられず、仕事の効率が落ちてしまう可能性があります。一方で、コミュニケーション能力が高いと、自分の考えや意見がスムーズに伝わり、仕事の効率もアップします。そして、コミュニケーション能力が高いITエンジニアは、明確に論理立てて人に伝える力である論理的思考力を必ず身に付けています。
論理的思考の鍛え方

ここまで、「ITエンジニアに論理的思考が求められる理由」と「ITエンジニアが論理的思考を身に付けるメリットについて」解説してきました。
では、一体どうすれば論理的思考は身に付くのでしょうか。
本項目では、論理的思考の鍛え方を詳しく解説していきます。
効率的な処理の順番を考える
日ごろから効率的な処理の順番を意識して生活すると、論理的思考は鍛えられます。
例えば、朝起きてから家を出るまでの準備の時間、「どのような順序で準備をすれば最速で家を出られるのか」を頭の中で考えるのも論理的思考を鍛えるトレーニングになります。
この際に、意識するポイントとしては、「服選びに迷わないように曜日によって着る服を固定する」など、動作の根拠を明確にしましょう。
文章や図などアウトプットして考える
処理の流れを考える際は、頭の中で考えるだけよりも、実際に文章や図などでアウトプットしながら考えると分かりやすく、より良いアイディアが生まれやすくなります。
また、アウトプットした文章や図を使って、他の人に説明するとより自分の考えが整理され、改善点や修正点が見つかりやすくなります。
疑問を抱く癖を身に付ける
事柄に対しすべて受け入れるのではなく、「なぜこうなったのか」と疑問を抱く癖を身に付けるのも論理的思考を鍛えるのに有効的です。
疑問を抱く癖が身に付いていると、問題が起こった原因や解決策を考えるのが当たり前となり、ITエンジニアの仕事に対してもよりスムーズに論理的思考が使えるようになります。
具体的な言葉を使用する
論理的思考とは、言い換えれば「具体化」です。
抽象的な状態だと、論理的思考力は鍛えられず、抽象的な考えのもと進めるシステム開発は非常に危険を伴います。具体化に慣れておくためにも、日ごろから具体的な言葉を使用すると良いでしょう。
例えば、「この原因は恐らく、〇〇だと思います」ではなく、「調べた結果、その原因は〇〇でした」などです。日常から具体的な言葉を使用していると、抽象的ではなく具体的に考える癖が身に付き、論理的思考が鍛えられます。
まとめ

本記事では、ITエンジニアに論理的思考が必要な理由について解説しました。
本文でも解説した通り、論理的思考を身に付けたITエンジニアは、より希少価値が上がり、幅広い仕事ができます。そのため、ITエンジニアの方やITエンジニアを目指している方は、日ごろから論理的思考を鍛える努力をしましょう。
現在、ITエンジニアを目指している方が、論理的思考を鍛えるためには、実際にプログラミングを学ぶのも非常に有効的です。
しかし、独学でのプログラミング学習は、継続すること自体が難しく、過去に挫折した経験がある方も少なくないでしょう。そんな時は、オンライン上で完結できる学習プラットフォームの利用がおすすめです。
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