ITエンジニアとして現場に立つと、必ず向き合うことになるのが「情報セキュリティ」です。
どれほど便利なシステムを構築しても、守るべきデータが漏えいしてしまえば、その信用は一瞬で失われてしまいます。
特に日本企業では「信頼」や「コンプライアンス」こそが業務品質そのものと見なされており、エンジニア一人ひとりのセキュリティ意識が組織全体の評価につながります。
本記事では、初めてIT業界に入った方、セキュリティを勉強し始めたばかりの方に向けて、知っておくべき基本的な考え方や、日常の中で気を付けるべきポイントをまとめました。
1. そもそも情報セキュリティとは何か?
情報セキュリティには3つの柱があります。
「機密性・完全性・可用性」の3つの要素を守ることが、情報セキュリティの基本になります。
● 機密性(Confidentiality)
許可された人だけが情報にアクセスできる状態を保つこと。
└例:個人情報を暗号化する、アクセス権を制限するなど。
● 完全性(Integrity)
情報が改ざんされず正確な状態に保たれること。
└例:データのハッシュチェック、ログ監視など。
● 可用性(Availability)
必要なときに情報にアクセスできる状態を確保すること。
└例:サーバの冗長化、バックアップの定期取得など。
この3要素は、どれか1つでも欠けるとシステムとしての信頼性が崩れてしまいます。
2. 初心者エンジニアが特に注意すべきポイント
ここからは、日々の業務で特に気を付けておきたい、実践的なポイントを紹介します。
(1)パスワード管理を甘くしない
単純なパスワードの使い回しは、最も起きやすいセキュリティ事故の原因です。
最低限、以下を守りましょう。
・長く、複雑なパスワードを利用する
・個人サービスと業務用アカウントを絶対に混在させない
・パスワード管理ツール(例:1Password、KeePassなど)を使用する
・多要素認証(MFA)は必ずオンにする
「パスワードは覚えるもの」という考え方はもう古く、パスワードは管理ツールに覚えさせるものが現代の常識です。
(2)会社のデータを私物PCで扱わない
日本では在宅勤務も増えてきましたが、「私物PCで会社データを作業」は重大リスクです。
私物PCには最新セキュリティパッチが当たっていない、不要なアプリが多い、ウイルスチェックが不十分など、企業PCと比べて安全性が低いことが多くあります。
会社データを扱う際は、会社支給のPC等を使うことが望ましく、私物端末との線引きを明確にしておくことが重要です。
(3)メールの添付ファイル・URLを安易に開かない
サイバー攻撃の多くは、実はメールから始まることがほとんどです。
特に日本企業はフィッシングメールの標的になりやすく、巧妙な日本語で送られてくる場合もあります。
・差出人のメールアドレスを必ず確認する
・添付ファイルはウイルス対策機能でスキャンしてから開く
・URLをクリックする前に、リンク先をプレビューで確認する
「気付きにくい攻撃ほど多い」と意識しておくと安全です。
(4)開発における安全なコードの意識を持つ
エンジニアとしてコードを書く場合、セキュリティは設計やレビュー段階から意識する必要があります。
・SQLインジェクション対策(プレースホルダー利用)
・XSS対策(エスケープ処理)
・不必要なログへの個人情報出力禁止
・外部APIキーをコードに埋め込まない
これらはどれも初歩的な内容ですが、被害が大きくなりやすい部分です。
(5)バックアップを「取るだけ」で終わらせない
バックアップは取得するだけでは不十分で、復元テストを定期的に行って初めて意味があります。
・実際にリストアできるか
・バックアップの保存先が安全か
・暗号化されているか
これらを定期的にチェックすることで、障害発生時の復旧力が大きく向上します。
3. セキュリティは “自分ごと” ではなく “みんなごと”
新人のうちは「自分には重大な権限はないから関係ない」と思いがちです。
しかし、攻撃者は往々にして「権限の弱いところから突破を試みる」ものです。
あなたが触るファイル、開くメール、使うツール、その一つひとつが、組織を守る重要な盾になります。
また、日本企業は「報連相(報告・連絡・相談)」を非常に重視します。
少しでも気になる挙動や不審なメールがあったら、必ず先輩やセキュリティ担当に共有しましょう。
早めの共有は、被害を未然に防ぐ最大の対策です。
まとめ
情報セキュリティは難しそうに見えますが、本質は「日頃の小さな習慣づけ」です。
パスワード管理、端末の扱い、メールチェック、そして安全な開発、これらを丁寧に行うだけで、重大な事故につながるリスクは大幅に減ります。
ITエンジニアとして最初に身につけるべきスキルは、実はプログラミングよりも「情報を守る姿勢」なのかもしれません。
これを最後まで読んでくれたみなさんも、今日からできることを1つずつ実践していきましょう。


